「文章にしか出来ない事。」

ばっちゃまの下の番人となってしまった私ですが

読書に救われています。

直木賞など文学賞の発表がある度に、受賞作者に注目して

作品を読みたいと思いつつ、たまにしか実行におよばずに

きているので、ブームが去った頃に図書館で借りてきて

読んでいます。

只今、道尾秀介さんにはまっています。次から次に読んで

いる所ですが、たまたま彼のエッセイ集「プロムナード」を

読んでいて感銘を受けたので、その部分を紹介します。


科学技術が発達して、手の平サイズの機械に大量のデータを

しまっておける時代だが、言葉以上に容量のあるデバイスは

未だ存在しない。何故といえば、人の脳みそに直接はたらき

かけられるのは言葉だけだから。言葉は人に情報を与えるだけ

でなく、呼び水のように作用する。脳の中にある本人さえ知ら

なかったものを無限に引き出す事ができる。そして誰も見たこと

のない風景や感情を目の前に描き出し、肉声よりも肉声に近い

声を耳に聴かせる。「文章にしか出来ない事。」

               「プロムナード」より

肉声だとその場限りで消えてしまいますが、文章だと残り

ますし、「文章にしか出来ない事。」を誇りに作家さん達は

執筆に勤しんでおられるのでしょうね。

また彼は、読者の皆さんに”お願い”として色眼鏡で本を

読んで欲しくないと訴えておられました。つまり、ジャンルを

決め付けて欲しくないということです。

正直、私も彼をミステリー小説家と決め付けていた所が

ありましたし、読んでみると推理だけでなく中身の濃い

とても魅力的な小説だったので引き込まれてしまいました。

ミステリー小説そのものを全く誤解していたと悟りました。

また彼のエッセイから彼が小説家となったきっかけとなった

小説家の方々を知り、その方達の小説も読んでいます。

本の中に入っていくことで現実逃避出来る事ってすごい

ですし、言葉に励まされ、感性を磨けて、一石二鳥どころ

か一石三鳥ですよね。これから、ますますのめり込みそう。(#^.^#)
浮見堂で読書とかしたいなぁ♪
  ―昨年5月撮影―